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2010年03月19日

【悪性リンパ腫と闘った男の物語 第8話】抗がん剤編

「ズボッ・・・ズボッ・・・。」髪の毛が抜けていく・・・・。

1回目の抗がん剤治療を終えたその日は、特に副作用の影響は感じられなかった。
しかし、次の日から体に異変を覚え始める・・・。
副作用の影響でいくつもの症状が体に出始めるではないか!

髪の毛が抜けていくことは、抗がん剤治療を受ける前から覚悟していた。
2日目の朝、無意識のうちに両手で髪をかくと、指の間にたくさんの髪の毛が残る。

「なんじゃこりゃあぁぁぁぁ!!!」と思わず叫んだ。

テレビドラマ『太陽に吠えろ!』の松田優作演じる、ジーパンデカの殉職シーンで、最期に松田優作が絶叫する場面を思い出す。

今度は髪を引っ張ると面白いくらい冒頭のように「ズボッ・・・ズボッ・・・。」と、髪の毛が抜けていった・・・。

これは大変だ!尋常ではない!しかしこれが現実なのか!

私は、急いで浜の町病院の地下1階にある散髪屋へと駆け込む!
「丸坊主にしてください。」

散髪屋のご主人も数々の患者さんたちを見てきているから、その一言で私がどんな病気なのかもすぐに察しがついたのだろう・・・。
しばらくして散髪も終わると、主人がこう言った・・・。
「坊主にしてどんなに髪を短くしても髪は抜けてしまうから、ガムテープを用意していた方がいですよ。」

「あぁ・・・、意味が分かりました。ありがとうございます。」

坊主にしたのはどれくらい振りだろうか。学生のときに体育会系のテニス部に入っていたが、夏の合宿前や練習に遅刻した時は、先輩からの命令で、よく丸坊主にしたものだ。あの頃が懐かしい・・・。体育会系で鍛えられたおかげで、上下関係と礼儀は体に染み付いた!



鏡に写った自分を見ると、思わず笑ってしまう。そして少し若くなった感じだ!
「なかなか似合うぜ!俺。」

病室に戻ってまたベッドに横たわりしばらく眠りについた。そして、ふと目が覚めると・・・・。
そして白いベッドの上には、小さな髪の毛がたくさんの固まりのように集まって抜けていた。

私は、散髪の帰りに立ち寄ったナースステーションでもらったガムテープを何枚も切っては、ペタペタと短い髪の毛たちを取っていく・・・。
「これくらいどうってことはない!」「平気だ!」

抗がん剤治療の副作用はまだ始まったばかりだ。これだけでは済まない・・・。
薬が段々と効きはじめる!これからは体だけではなく、抗がん剤は精神的にも・・・。いよいよ自分との戦いが始まった。
葛藤も繰り返す・・・。

そう、いま私は生かされている・・・。そして世のため人のために尽くして生きた証しを残す。
この物語りも私の生きた証しであり、生き様である!

人生は一度きり!人生もベンチャーだ!

続く・・・。